ディスプレイ校正のワークフロー:研究開発から量産まで
ディスプレイの校正は一度きりの作業ではありません。試作段階から量産まで、ディスプレイの進化に寄り添う体系的なワークフローです。研究開発(R&D)段階では理想的な性能を追求しますが、量産段階では、数千台から数百万台にわたる製品において、精度と効率を損なわないようにその性能をスケーリングすることが求められます。
ディスプレイ校正のワークフロー:研究開発から量産まで
ディスプレイの校正は一度きりの作業ではありません。試作段階から量産まで、ディスプレイの進化に寄り添う体系的なワークフローです。研究開発(R&D)段階では理想的な性能を追求しますが、量産段階では、数千台から数百万台にわたる製品において、精度と効率を損なわないようにその性能をスケーリングすることが求められます。
■R&D段階の校正:基礎作り
性能目標の定義
設計初期には、白色点や輝度、ガンマカーブ、色域(sRGB、AdobeRGB、DCI-P3など)など、ディスプレイの主要な仕様が定義されます。これらは業界標準やアプリケーション要件、ユーザー体験の目標に基づき決定されます。
試作品の微調整
数台の試作機を、高精度な分光放射計や高性能カラーメーターを用いて手動で校正します。この段階で重要なのはスピードではなく精度です。RGBゲインやガンマLUTなどの内部パラメータを調整し、目標仕様に合致させます。
測定と検証
校正後には、色度座標プロット、輝度均一性マップ、ガンマ検証などの測定を実施します。もし偏差が見つかれば、バックライト調整やOLED補正などのハードウェアやファームウェアの改良を行います。
手順の確立
R&D段階での校正の成果は、「何を測定するか、どの順序で調整するか」といった正式な手順としてまとめられ、量産時の自動化校正の基盤となります。
機器の選定
また、量産ラインでの高速化に対応可能な機器の選定も行われます。分光放射計で目標値を定義し、ライン校正にはプロファイル済みの色彩輝度計や2次元イメージング色彩輝度計が使用されることが多いです。
■量産時の校正:スケーリングの実現
エンドオブライン(EOL)校正ステーション
量産工程では、ディスプレイ校正がEOLテストステーションに統合されます。自動化されたシステムによりテストパターンを表示し、スポット色彩輝度計や2次元イメージング色彩輝度計で輝度・色データを取得。校正ソフトウェアがリアルタイムでディスプレイ設定を調整し、目標仕様に合わせます。
スループットと精度の両立
全階調を測定する代わりに、黒・白・中間のグレーの3点だけを測定してガンマを推定するなど、校正時間を短縮する工夫が重要です。また、2次元イメージング色彩輝度計は、グレースケールの全画像を一度に測定できるなどの利点があります。
機器の選択
スポットの色彩輝度計は高速性に優れ、ロボットアームや多次元配列に搭載されることもあります。一方で、輝度均一性やムラ検出には2次元色彩輝度計が有効です。多くの場合、両者を組み合わせて、全体校正と均一性マッピング・外観検査を同時に行います。
また、スポット色彩輝度計や分光計が全体の校正を担当し、2D次元イメージング色彩輝度計が輝度の均一性のマッピングや外観検査を行うなど、役割を分担するケースも多く見られます。
自動化と統合
工場の自動化システムに接続できる校正システムが求められます。Admesyの測定機器は、産業用のインターフェースやAPIを介して簡単に統合が可能です。
自動化フローの例:
各ディスプレイには校正記録が残り、トレーサビリティや品質管理に役立ちます。
テストパターンの表示
出力を測定
補正量を計算
補正を適用
再測定し、合否判定
測定結果を記録/合否の判断
各ディスプレイには校正記録が残り、トレーサビリティや品質管理に役立ちます。
許容範囲と工程管理
量産では精度の許容範囲(例:白色点のΔE<2など)を明確に定め、システムが自動的に調整を繰り返し、目標範囲に収まるまで実施されます。測定機器自体も、リファレンス機器と定期的に比較して校正精度を維持します。
■工場外での品質保証・ライフサイクル校正
品質監査
量産後の製品をサンプリングし、ラボで分光放射計と照合します。これにより量産工程の精度を確認し、機器のドリフトを検出します。
経年変化と再校正
特に業務用ディスプレイは、部品の経年変化による性能劣化を補正する再校正が求められます。現場での再校正ツールや自己校正機能を備えた製品も増えています。
■量産校正での最適化戦略
並列校正
小型画面やモジュール単位のテストでは、2次元イメージング色彩輝度計で複数台を同時に校正し、生産効率を高めます。
テストシーケンスの効率化
パターン数の削減や工場デフォルトの活用により、校正工程を短縮します。例えば、ガンマが安定している場合は白色点のみを測定して補正することも可能です。
ゴールデンユニットの参照
ラボの分光放射計で校正した“ゴールデンユニット”(基準機)を基準に、量産機器のドリフトを補正します。
ロボットハンドリング
完全自動化ステーションでは、ロボットがディスプレイやセンサーを配置します。Admesyのコンパクトで堅牢な機器は、このような環境での使用に非常に適しています。
さらに詳しく:色彩輝度計校正の簡単ガイド
■ワークフローを支えるAdmesyのソリューション
ラボから量産までの全ての段階で、Admesyの測定機器は高い一貫性と性能を提供します:
Prometheus(プロメテウス) および PCM2 色彩輝度計は、量産での光束かつタフな測定を実現します。
Titan(タイタン)やHelios(ヘリオス)などの2次元イメージング色彩輝度計は、高解像度の空間データを取得して、均一性や欠陥解析を支援します。
全ての機器は自動化対応・省スペース設計・充実したソフトウェアインターフェースを備えています。次世代ディスプレイの開発や量産の色精度確保に、ぜひAdmesyのソリューションをご活用ください!